この記事ではF値の基本について分かりやすく解説します。
F値は奥が深く、初心者が最初につまずくポイントです。
基本編と応用編に分けて解説していきます。
もくじ
絞りとF値の違い
絞りとは
絞りとはレンズの中にある物理的な部分
絞りとはレンズの中にある物理的な部分を指します。
この絞りの大きさを調整することにより、カメラの中に入る光の量をコントロールしてます。
F値とは
レンズを通る光の量をあらわした数値
絞りは物理的な部分を指すのに対し、F値とは絞りから入る光の量を数値化したものです。
厳密には違うのですが、解説しだすと最初から大幅にこけてしまうので、上記のように覚えていただければOK。
F値の計算式(覚える必要なし)
焦点距離÷有効口径=F値
F値の計算式としては、上記の計算式となります。
覚える必要はないです。
絞り(F値)の役割
絞りの役割は大きく分けて2つあります。
- 光の量をコントロールする
- 被写界深度(ピントの合う範囲、ボケ具合)を調整する
光の量をコントロールする
ここからは「F値」という単語で解説を主にしていきます。
F値を調整することで、カメラに入る光の量をコントロールできます。
ポイントは以下の2点。
F値 | 絞りの穴 | 光 |
---|---|---|
小さい(2.8など) | 大きい | 沢山入る |
大きい(13など) | 小さい | 少ししか入らない |
???
F値が小さいと、たくさん光が入るの?逆なのでは?
いえ、F値が小さいと沢山光が入ります。
ここが最初の難関ポイントです。。。
ここが最初の難関ポイントです。
F値が小さいと絞りの穴が大きくなります。
そのため沢山光が入ってきます。
F値の大きさと、光の量の関係は逆!!!!!!
光をたくさん取り入れられるとどうなる?
光がたくさん入る→明るい写真になる
光が少ない→暗い写真になる
下の写真をご覧ください。
F値3.5 SS:1/250 ISO:400 モード:Mモード
上の写真はF値3.5で撮っております。
暗いですね~
では次。
F値1.4 SS:1/250 ISO:400 モード:Mモード
上の写真はF値1.4で撮影しています。
先ほどより明るいですね~。
このようにF値が小さいと光がたくさん入るので明るい写真となります。
ここまでをまとめると、次のように。
F値 | 絞りの穴 | 光 | 明るさ |
---|---|---|---|
小さい(2.8など) | 大きい | 沢山入る | 明るい |
大きい(13など) | 小さい | 少ししか入らない | 暗い |
被写界深度を調整する
次に絞りの役割の2つ目です。
F値を調整することで被写界深度(ピントが合っている範囲)を調整できます。
被写界深度とは、ピントが合う範囲を指します。
F値を調整すると次のように。
F値 | ピント | 被写界深度 |
---|---|---|
小さい(2.8など) | 1点にあう | 浅い |
大きい(13など) | 全体にあう | 深い |
下の写真をご覧ください。
F値3.5 SS:1/250 ISO:400 モード:Mモード
上の写真はF値3.5で撮っております。ぬいぐるみ(チョコボ)にピントを合わせてます。
暗いですね~、かつ、背後にある我が家の汚いカーテンもうっすらっ見えております。
では次の写真。
F値1.4 SS:1/250 ISO:400 モード:Mモード
上の写真はF値1.4で撮影してます。
チョコボにピントがあっていますが、我が家の汚いカーテンや謎の観葉植物にはピントが合っておらず、結果としてボケています。
ここまでをまとめると、次のように。
F値 | 絞りの穴 | 光 | 明るさ | ピント |
---|---|---|---|---|
小さい(2.8など) | 大きい | 沢山入る | 明るい | 1点に合う |
大きい(13など) | 小さい | 少ししか入らない | 暗い | 全体に合う |
どういう時にF値を調整するの?
※ここからの説明はマニュアルモードを前提に解説していきます。
こんな時にF値を調整します。
- ポートレートなど、背景をぼかしたいとき→F値を小さくする
- 風景写真などで、ピントを全体に合わせたいとき→F値を大きくする
- 星の撮影でもっと光を取り入れたいとき→F値を小さくする
背景をぼかしたいとき
ポートレートや花の撮影では背景をぼかすことが多いです。
背景をぼかすためには???
F値を小さくすればいいんだよね!
そうです。
背景をぼかしたいときはF値を小さくしましょう。
F値1.8 SS:1/1000 ISO:100 モード:Mモード
風景写真など全体にピントを合わせたいとき
風景写真ではピントを全体に合わせることが多いです。
そのためF値を高くして撮影するのが基本です。
一部でもピントが外れていると、ディティールが表現できない部分がでてくるためです。
F値13 SS:1/50 ISO:50 モード:Mモード
基本的にはF値8.0で撮影しましょう。
もし値F8.0でもピントが合わない場合は少しずつ高くしていきましょう。
星空撮影
日中と比べると夜間は光が圧倒的に少ないです。
星がよく見える場所は、街灯などが少ないため3m先が全く見えないことも。
F値1.4 SS:30secISO:1600 モード:Mモード
当然カメラに入ってくる光は微々たるものです。
そのためF値を限りなく小さくして撮影するのが基本となります。
けどケースバイケース
上記の例は一例になります。
例えばワンちゃんや子供を撮りたいからと言って、必ずしもF値を下げなきゃいけないわけではありません。
例えば風景と人を映したいときはF値を上げることもあります。
状況によって適切な値に調整することが大事になります。
レンズのF値の確認方法
レンズによって最小のF値(開放F値)は異なります。
レンズは単焦点レンズとズームレンズの2種類があります。
それぞれのF値の確認方法を見ていきます(大きな違いはないです)。
単焦点レンズのF値
単焦点レンズとは一言でいえば、F値をすごく下げられるレンズです。
その代わり焦点距離が固定されている、というデメリットがあります。
ではこちらのレンズで見ていきましょう。
名称:SIGMA 85mm F1.4 DG DN
レンズの名称は大体次のようになっています。
「メーカー名 焦点距離 最小F値 各メーカーが定めるレンズのバージョン」
なので上のレンズは「SIGMAが出している、焦点距離85mmで、最小F値は1.4のDG DNなレンズ」と読み替えることが出来ます。
ちなみに最後のDG DNというのは
「DG:フルサイズセンサー対応レンズ DN:ミラーレス一眼専用レンズ」 というSIGMAさん特有の表記をしているため、ここは覚えなくてもOKです。
ズームレンズのF値
ズームレンズとは焦点距離が調整できるレンズです。
単焦点レンズと比べると最小F値は一般的に高いです。
名称:SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS|SPORTS
このレンズの読み方としては次のように。
「SIGMAが出している、焦点距離は150~600mmまで調整できて、焦点距離150mmの時の最小F値は5.0、焦点距離600mmの時の最小F値は6.3のDG DNでOS|SPORTSなレンズ」
と読み替えられます。ちょっと長いですね。
焦点距離が変わると最小F値も変わるの?
ズームレンズにもよりますが、焦点距離によって最小F値が変わるレンズがあります
ズームレンズによっては焦点距離によって最小F値が変わることがあります。なので
「600mmにしたんだけどF値が5.0まで下げられない!!!」と嘆くことなかれ。
通しレンズ(ズームレンズ)
世の中には「通しレンズ」と呼ばれるレンズが存在しています。
例えば次のレンズは通しレンズです。
名称:SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN ART
このレンズは
「SIGMAが出している、焦点距離は24-70mmまで調整できて最小F値は2.8のDG DNでARTなレンズ」
と読み替えられます。
このレンズは焦点距離を変えても最小F値は変わらないんだね
そうなんです。焦点距離を変えても最小F値が変わらないレンズを「通しレンズ」と呼びます。
まとめ
長々と解説してきましたが、この表と間違いやすいいポイントだけ覚えておけばOK!!!
F値 | 絞りの穴 | 光 | 明るさ | ピント(被写界深度) |
---|---|---|---|---|
小さい(2.8など) | 大きい | 沢山入る | 明るい | 1点に合う(狭い) |
大きい(13など) | 小さい | 少ししか入らない | 暗い | 全体に合う(広い) |
F値の大きさと、光の量の関係は逆!!!!!!